2018年7月4日(水)

お口の中を楽しくコラム

歯の成り立ちと虫歯


きれいなゆで卵がありました。

さて食べましょうかと手に取ってみたら、
殻に小さなひびが入っていました。

「・・・ん?」と
一抹の不安にかられながら、殻をむいていくと、
なんと中身は半分ほど傷んでいました。
外からは、まるでわかりませんでした。


もゆで卵と同じで、
 「三層構造」からなっています。

  • 薄くて硬い殻  ⇒ エナメル質
  • 本体の白身   ⇒ 象牙質
  • 大事な黄身   ⇒ 神経

レントゲンで歯を、横から透かして見てみましょう。

歯の下三分の2は、歯ぐきの中に埋まっているので、
鏡で見えるのは上の三分の1だけです。
そこに大きな空洞の虫歯、
なっているの、イメージわきますか。

歯の下のほう(根っこの部分)の空洞は、
神経が入っています。
ここまで虫歯と神経が近接してくれば、
まもなく“虫歯が痛い”となります(笑)。

 ・・・笑い事ではありませんでした。

りんかくで残っているのがエナメル質です。
ゆで卵の殻にあたる部分です。

右隣の歯も、虫歯菌が、エナメル質を溶かして
象牙質内部に入りこもうとしているがわかります。



「センセ~、昨日、こんな大きな虫歯になっちゃいました~」
と、患者さんが来院されました。

しかし、さすがの虫歯菌も1日では、
こんなに大きな穴は掘れません。
虫歯はじわりじわりと、
エナメル質の下(卵の殻の下)で進行していたのです。
そして昨日、何かを噛んだ拍子に、
支えのなくなったエナメル質が、ドスーーンと落盤事故を起こすと、
一日で虫歯になっちゃっと感じるのでした。

そういえば、歯医者さんに
小さな虫歯だと思って行ったら、
“こんな大きく削ちゃって…”て思いながら帰った経験、
おありでしょ?


こんな虫歯を、家の鏡で見ていたとしても、
なかなかわかりにくいかもしれません。
定期診査の必要性、いくらかでも理解していただけたでしょうか。

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