私の好きなおすすめの仏像を、三つ紹介します。
山形・酒田の海向寺という小さなお寺に、即身仏の仏様がいらっしゃいます。
即身仏とは、僧侶自らがミイラとなって仏となり、人々を救済しようとした仏様です。
エジプトのミイラは王様の死後、神とあがめるべく家臣たちがミイラにしたものですが、
即身仏とは、自分の意思でミイラになったものでした。
修行僧は修行の最終形態として、
山中での修行中ゆっくりと体脂肪と水分を減らしていって、
極限まで達したところで、自ら穴にこもります。
この先、自分の身がミイラ化するか腐敗して跡形もなくなるかの確証はなく、
いうまでもなく、自分で確かめるすべはありません。
身と心の両方を極限にまでにおく、究極の修行ということになります。
凡人の私には修行の意味すらよくわかりませんが、
修行を突き詰めた彼ら僧侶たちに、その先に何が見えたのでしょうか。
このお寺を訪ねて行った時、ツアーの人たちが付近をぞろぞろと、たくさん歩いておりました。
さすが有名な仏様かと思ったら、
目の前が映画「おくりびと」のロケ記念館になっており、そちらに行く人たちでした。
ツアーコースということもあるのでしょうが、こちらのお寺には誰も入っては行きませんでした。
海向寺は外観は特別なことない普通のお寺。
とりわけ大きな敷地というわけでもなく、
本堂の横に白壁のお蔵みたいな建物がぽつりとあります。
「Wikipedia」より
そして、小さな扉。
最初はお寺の方の住居部分(庫裏)かと思って少し躊躇しながらも扉を開けて入っていくと、
呼び鈴があってそれを押すと、奥から受付の方がが走ってこられ拝観料を納めます。
光の入らないこじんまりとしたお堂の中は凛とした空気感が漂い、
背筋は伸びますが、近寄っていきたい優しさが感じられます。
シーンとした小さな空間で、仏様とゆっくりお話をさせていただけます。
仏さまは何年かに一度、お着物を着せ替えられているようで、
ダンディーにパリッとした袈裟を着ていらっしゃいます。
地元の人から身近に感じられているのでしょう。
如何せん、元が我々と同じの生身の仏様ですから、
とても親身になってお話を聞いてくださるような気がします。
いつもいつも心に残っている仏様のひとりです。
