きれいなゆで卵がありました。
さて食べましょうかと手に取ってみたら、
殻に小さなひびが入っていました。
「・・・ん?」と
一抹の不安にかられながら、殻をむいていくと、
なんと中身は半分ほど傷んでいました。
外からは、まるでわかりませんでした。
歯もゆで卵と同じで、
「三層構造」からなっています。
- 薄くて硬い殻 ⇒ エナメル質
- 本体の白身 ⇒ 象牙質
- 大事な黄身 ⇒ 神経
レントゲンで歯を、横から透かして見てみましょう。
歯の下三分の2は、歯ぐきの中に埋まっているので、
鏡で見えるのは上の三分の1だけです。
そこに大きな空洞の虫歯、
なっているの、イメージわきますか。
歯の下のほう(根っこの部分)の空洞は、
神経が入っています。
ここまで虫歯と神経が近接してくれば、
まもなく“虫歯が痛い”となります(笑)。
・・・笑い事ではありませんでした。
りんかくで残っているのがエナメル質です。
ゆで卵の殻にあたる部分です。
右隣の歯も、虫歯菌が、エナメル質を溶かして
象牙質内部に入りこもうとしているがわかります。

「センセ~、昨日、こんな大きな虫歯になっちゃいました~」
と、患者さんが来院されました。
しかし、さすがの虫歯菌も1日では、
こんなに大きな穴は掘れません。
虫歯はじわりじわりと、
エナメル質の下(卵の殻の下)で進行していたのです。
そして昨日、何かを噛んだ拍子に、
支えのなくなったエナメル質が、ドスーーンと落盤事故を起こすと、
一日で虫歯になっちゃっと感じるのでした。
そういえば、歯医者さんに
小さな虫歯だと思って行ったら、
“こんな大きく削ちゃって…”て思いながら帰った経験、
おありでしょ?
こんな虫歯を、家の鏡で見ていたとしても、
なかなかわかりにくいかもしれません。
定期診査の必要性、いくらかでも理解していただけたでしょうか。
