小さな女の子がお人形さんとお話している姿を見かけたら、
その光景は微笑ましく幸せな気分にさせてもらえますし、
彼女自身にとっても至福のひと時でしょう。
この「大人のお人形さん遊び」が、仏像めぐりです。
優しいお顔した仏様がいらゃっしゃるところならば、
だいじょうぶ、いろんなお話を聞いてもらえます。
もちろん、声を出したりはしませんけど。
私の大好きな仏さまをいくつか紹介しています。
ひとつ目は何と言っても、国宝の中の国宝、
奈良・中宮寺の観音様です。
このお寺は、
あの超メジャーな法隆寺の隣接したところにあります。
日本国中の仏像も、国宝ともなると、
いろいろと規則に縛られてくるのでしょう。
無機質で薄暗い倉庫のようなコンクリート製の建物の中とか、
分厚いガラスの中の離れたところとか、
よそよそしいこと極まりないところでのご対面
という場合がほとんどです。
しばしばこの距離感が、
こちらが話しかけようとする気をそいでしまって、
そそくさとおいとますること多くあります。
しかしこの中宮寺の観音様は、
きれいなお庭を前に全面開放された飾り気の少ないお部屋に
ゆるりと、鎮座されています。
それほど大きくない御本堂の中央に、
おひとりでドーンと座ってらっしゃいます。
手を伸ばせば届きそうな近さに、
遮るものはありませんから息吹さえ感じられそうです。
そのお姿の前にしずしずと進み出ていくと、
「よくいらっしゃいましたね」と
あのほほ笑みで優しく声をかけていただけるのでした。
両脇に何人かのお付きの仏様もいたような気もしますが、
さらに、このお部屋が絨毯だったか畳だったかとか、
記憶がすべてあいまいです。
スーパースターに話しかけていただき舞い上がってしまって、
細かな情景などすっかり飛んでしまっています。
アイドルの追っかけが、キャーと奇声を上げて
必死に手を振っている気持ちが、
初めて少しわかったような気がしました。
季節や天候に恵まれれば、
お部屋の中は心地よい風がそっと吹き抜けています。
そんな中で、
世界で一番と言われてるあの微笑みを持った方に、
ひとりひとりにやさしく話しかけてくださって、
その時間をたまたま居合わせた数人と共有する、
そんな至福のひと時が味わえるところです。
法隆寺は、中心部から少し離れているので
パスツアーで来られる人が多いのですが、
どうやら法隆寺ツアーには、
中宮寺の時間が組みこまれていなさそうです。
だからあのゆったりとした空間が維持できているともいえるのですが、
ここは個人旅行で、かつ時間に余裕を持って
そして空いていそうな時間を見計らって行ったほうがいいでしょう。
言うまでもなく法隆寺の方も見どころ満載なので、
両方回るとなると、一日いても飽きません。
このフィギュアは、そごうで買いました。
