2019年5月14日(火)

お口の中を楽しくコラム

なぜ歯を磨かなければならないのか


アラスカに魅せられた写真家・星野道夫のエッセイの中で、
「あと50年早くアラスカに来たかった。
そこには200年前の同じ世界があったと思うから」
みたいな話を読んだことがあります。

アラスカに限ったことではありませんが、
この200年で石炭・石油文明が発明されて、
生活形態ががらりと変わりました。

そして歯の話ですが、
星野道夫のたとえで言うと、
「10万年前の人と1000年前の人は
おそらく同じようなものを食べていたが、
100年前の人と今の人は、
まるで違うものを食べている」
ということが、今回の本題です。

ホモサピエンスがアフリカを出発して10万年、
そして今の食生活は、ほんの100年ほどのことです。

「10万年と100年」と言われてもピンとこないので、
単位を円に換えて、10万円のうちの100円と考えると、
すっかり変わってしまったのは、
ごくごく最近ということがよくわかります。


それゆえ生体の進化という話でいうと、
歯は、今の食生活にまったく対処していません。
キリンの首が伸びたとか鳥が空を飛べるようになったとか、
環境に合わせた生態系の進化は
50年や100年では無理でしょう。
だから人間は、歯のことで悩むのです。

人類は、歴史上そのほとんど何万年もの間、
いつも空腹を感じていたというのが基本でした。
現代の手を伸ばせば食料があるということは、
人類何万年の歴史の中で異常なことなのです。
どういうことかといいますと、
歯を使うのはたまにだった、ともいえるのでした。

さらには、
野生の肉を直火で焼いて食べていたのが
ラーメン・ハンバーグ・オムレツが
一週間のうちに何度も出てくる食生活に、
体は対処していません。
食料がやわらかくて口当たりがよくておいしいものばかりなんて、
もう体は喜んでいいのか悲しんでいいのか、
今は思考停止状態です。

歯も体も、もうなるようになれと・・・


(ボクはディアムレアで)


そんな中、
我々も苦労をしつつ、この50年ほどの間の中で、
歯のメインテナンスを、
生物学上・自然界上からかんがみて、
 “不自然なほど”手をかけてあげれば、
なんとかなるということがわかってきました。

言い方を変えると、
不自然なほどの手入れをしなければ、
歯は持たないということでもあります。

「歯をちゃんと磨きましょう」とは、
 そういうことなのです。


(みんな、わかりましたか?)


補足ですが、
昔の人は寿命も短かったので、
歯が悪いのも、それほど目立ちませんでした。

私の感覚でいい加減なことを言うと、
現代の食生活でも40歳ぐらいまでなら、
歯なんか磨かなくても何とかなるような気がします。

しかし現代の寿命の70年80年と考えると、
歯は壊れていないうちからしっかりメインテナンスをしないと持ちません。


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