2025年6月8日(日)

趣味のコラム

言葉をお勉強

3)古文

a)あの文字を読みこなす

国語力の武器として、外国語があったらよかったなと思っているのですが、もうひとつ、古文書(こもんじょ)を読むという能力があったらとも思っています。あの字が読めたら、またもうひとつ先の世界があったかと思ってはいますが、今さらもうね~。

高校の古典の授業で「もののあわれを訳せ」で、まずここでつまずきましたね。
「あは(わ)れ」とは、なんとも切ない感情を表しているもので、英単語を日本語にみたいに、ひと言では表せません。「ああ」という感嘆詞に近い、文学的・情緒的表現です。「いとかなし」も「ああ悲しい」ではなくて、もっと繊細な感情の表現です。

あの落ち着きのない高校生に、侘び寂(わびさび)を説こうとするところに無理がありました。授業では、まずはテクニカルな読み方を、クイズ形式でゲームのように教えてもらえたら、もう少し入っていけるご縁が生じたかと思います。おい、文部省!

b)たとえば、源氏物語など。

源氏物語も本屋さんで、現代風に翻訳している本はたくさんあります。谷崎潤一郎、寂聴さん、リンボウ先生、さらに解説本まで含めればたくさんでています。ちなみにどれも、読んだことはありません。
なぜならば、これらは訳者の世界観を持って演出されたものであると勝手に偏見、あまり興味がわきませんでした。

Amazon.co.jp : 源氏物語

(なにも知りません)

源氏物語は、紫式部が30代のときに書かれました。
1000年前の30歳の紫式部の文章を、直に触れてみたかったのです。内容ではなくて、直の紫先生を味わってみたかったのでした。

c)じゃあ俳句でお勉強

歯ブラシも毎日のルーティーンかされるとだんだんおざなりになってくるのですが、言葉も同じです。そこで日本語能力upを意識するきっかけとして、俳句なども、どうだろうかと思いました。
あの浜ちゃんの「結果発表~!」番組での夏井先生の功績や、高浜虚子のひ孫先生キャラもなかなか素敵で、俳句がちょっとブームのようです。

俳句は、季語をいれて日常のちょっとしたいち場面・風景を表現する、日本の文化です。季語はネットで、一覧表がでてきます。
「飛び出すな 車は急に 止まれない」の標語に季語を入れると、
「春の風 車は急に とまれない」 となって、なんかもうりっぱな俳句となるのです。

“同じ景色ではないが似たような景色を想い浮かべる”という、みんなで遊ぶ遊びです。同じ文化を共感しあったり、異なった視点を教えてもらったり、これが言葉を楽しむということでもあります。もちろん言葉の勉強にもつながっていきます。
(…でもワタシ結局、やってません。)

4)本は時代を超えて

言葉に触れることによってその人間にも近寄っていくことができます。さらに先人たちと自分のあの時、同じ年齢で並べることもできます。(“比較して”などとは、おこがましくて申しておりません)

・先日、岡潔と小林秀雄の対談本を読んでいました。
大数学者と時代の寵児の批評家先生の対談の本です。昭和40年10月とありますから、両者40歳くらいの時です。
内容は当時と文化や科学が違うのでそのままとはなりませんが、今まで、憧れ・敬意としてしかとらえられなかった偉い先生方を、私も年を取って、もう少し近寄って人間味として味わうことができました。
どこかで小林先生は、「美しい花はあるが花の美しさはない」とおっしゃっておられていましたが、わけわかりません。

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(みんな生身の人間でした)

・岩手中尊寺の今東光和尚の話。
権威というものが存在していた昭和のあの時代、週刊プレイボーイで権威が若者相手に人生相談をして人気でした。
私も学生でしたが、そこで今東光和尚が鎌倉幕府の源頼朝のことを、
「この大事な文化遺産(中尊寺)を、田舎もんでなんも知らんバカが全部燃やしちめーやがって」と言っていて、びっくりした記憶です。
歴史上の人物をバカ扱いして驚いた記憶なんですが、偉人をそのまま天上人扱いではなく、生身の人間としての扱ったのだと今なら少し理解できるのでした。

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(この古本、高いのでお顔だけ)

・清水義則という作家は、自分の文章を国語のテスト問題に採用され「作者の意図は次のうちどれか」という問に、答えを見て「俺はそんなつもりで言ってないよ」と笑わせてくれていた気がします。
まあ人間が運営する学校とはそんなもんです。

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(これだったか。旧版を読みました)

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言葉の必要性と楽しさを、つらつら述べてみました。言葉から様々な人となりが見え、みんな楽しませてくれています。
逆に言うと、言葉とは、つねに人から見られる装い(よそおい)でもあり、常日頃から心に留めておいたほうがよさそうです。(自戒を込めて)

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