2025年5月25日(日)

お口の中を楽しくコラム

顎関節症(がくかんせつしょう)

1)テレビの健康番組

テレビの健康番組が横行闊歩しています。
「“めまい”、それは隠された重い病の前兆で、そのまま放置していると、死に直結する前触れかもしれません。」

ひとつの症例を針小棒大にドラマ仕立てに仕上げ、不安をあおれるだけあおる。いらっしゃいませ顔した医者が、後ろでうなずく。
ああいうのはホラー映画と一緒で、ハラハラドキドキを楽しむ娯楽番組です。現実とは少し温度差があることは、確認しておきましょう。

そんな番組の中で、
「かみあわせがずれていると、だんだんと背骨が曲がって行き、やがては歩けなくなってしまいます」
というのもありました。わざと低い声をだしてる女性ナレーターとおどおどしいBGM。

現実の話としては、かみ合わせがずれているのはほぼ全員ですし、この原因だけではなかなかね、というのがフェアーな感想でしょう。
これもある種の偏向報道です。

2)顎関節症とは

「口を開けると音がする」「ご飯を噛んでいるとき顎が痛くなる」「口が開けるのがなんとなく怖い」「朝起きると顎がだるい」など、
顎の不快感で受診する患者さんが時々いらっしゃいます。

膝や腰などの関節などもそうなのですが、ちょっとどこかが痛くなって、無意識にそれをかばってる姿勢を続けいて、バランス悪くなって全身的な症状となる場合も多々あります。
顎関節もそれ自身を原因として、「最近、いやに頭が痛い」とか、「しきりに肩がこる」とちょっと離れた症状としても出てくることもあります。

顎関節に起因して、顎関節自体の痛みはもちろん、それに加えて不快な症状があちこちに出てきてしまう一連の症状を、顎関節症と診断します。

3)顎関節の解剖学

ちょっと難しいかもしれませんが、知識として、かみ合わせの話を少しかみ砕いてしてみます。
まずは、骸骨の頭の部分。あらためて見てみるとこんなかんじです。


 
頭の骨は、「頭本体と下顎骨」の二つからなっています。
頭蓋骨の横の真ん中あたりに凹みがあって、そこに下顎骨の後ろの球体部分が当てはまっています。ちょうど手のグーをパーで覆いかぶせたような関係で、ゴリゴリと動いています。

たとえば「顎が外れる」というと、何かの拍子にグーがパーのくぼみからはずれてしまうことです。時たまスポーツ選手でみられる、肩の脱臼も似たような現象です。

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