5.ペンチのかみ合わせ
さらにお口の中は、ハサミの回転運動そのままとはならなくて、
なぜなら顎には可動範囲というものがあるからです。
ハサミは留め金のしっかりした回転運動だけですが、顎運動は前後と左右、かなりの範囲でフレキシブルに動くのでした。いうなれば留め金のがたついたペンチに近いものとなります。

顎運動が、ガタついたペンチだとしても、どこででもぎゅっと握りつぶせねばなりません。
補綴物は、型を取った時に「まん中で噛んでみてください」といってかみ合わせを印記して作るのですが、
装着時には、前後左右かなり大きな可動範囲も考慮しなければならないのです。調整がさらに必要となるわけです。

6.さらに、その前提として、
そもそも、
今、患者さんが補綴物の治療しているという事は、何かお口の中に問題があったから通院しています。

ということは、
例えば痛みだったとしたならば、さりげなくそこを避けて噛んでいたでしょうし、歯が欠けてうまく噛み切れないと感じていたならば、噛めるところを探してそこで噛むようになっていたか可能性があります。
知らず知らずのうちに、そのずれが自分にとっての標準になってしまっていることも、よくあることです。

そんな状況下診療室で「はい噛んでみて」と急に言われて、変に意識してしまってあたふたとしてしまうことなんか、日常では「あるある」です。
セット時は何とか、あっちゃこっちゃで噛んでもダイジョブなようには調整していきますが、
「果たしてこれであっているのかな?」は、
術者も、患者さんも、なのでしたw。(笑い事ではありませんけど)
7.そこで、ファイナルアンサーは、
術者も患者も「いったん冷静になりましょう」ということで、
「一度、これで使って見てください。次回、
『もうすっかり気にならなくなって使っていました
よ』とか、
『なんかいつまでたってもちょっとしっくりこないん
ですよ』
などと、どんな感じか、必ずまた確認しますからね」
なんて、お話ししています。
お家で緊張もとけた中で、普通に50回も100回ももぐもぐやっていけば、だんだん無意識の動作となっていきます。そこでの判断が欲しいところです。
これが後日の最終チェックが必要なわけです。






